小さい頃は夕方になると、お豆腐やさんの吹くラッパを家の前で待っていたものでした。最近はお豆腐を作るお店もだいぶ姿を消してしまいましたが、さすが京都、市中にはまだたくさんのお豆腐屋さんが残っています。この千代豆腐店は家から近いこともあり、よく買いにいくのですが、あまり早く行くとまだお豆腐が出来上がっていません。祇園の料理屋さんに配達にいくタイミングで、作業をしているとのことでした。

豆乳の甘い香りに誘われて店の引き戸をあけると、店内は蒸気に包まれて中の人が見えないくらい。お豆腐は絹ごしよりちょっと木綿に近いような弾力性があり、どっぷりと大豆の味がしみています。草履のようにべろーんと大きいお揚げにはびっくりしましたが、これが京都スタイルとのこと。湯葉も売っているのですが、お薦めは５００ｍｌの豆乳。にがりをいれる前の濃厚なものなので、これを鍋で煮立てれば、即席ゆばの出来上がり。出来立ての湯葉、後を引きます。